
今から1年と少し前の9月、天楔デッキを強化するDeck Driveイベントで突如として実装されたアルベルティーネが、登場直後から暴れに暴れシーズンマッチ環境を荒廃した風景に変えてしまったことはまだまだ記憶に新しいところ。
もともとアルベルティーネの実装1年というタイミングで、オセロニアの最近の対戦環境調整について感じていることを書こう書こうと思っているうちに時間が流れて機を逸した感がありましたが、ちょうど例のソウルデッキの件がまさに書こうと思っていたことに通じる内容だったため、このたび重い腰を上げて書いてみようと思います。
前編・後編のうち第1回の今回は、アルベルティーネという問題児がどうして生まれたかについて、実装前後の時系列情報をベースに考察してみようと思います。文字ばかりで面白みのない記事ですが、もし良ければお付き合いいただきたく。
「強すぎた」アルベルティーネ

アルベルティーネは、従来のディートリヒ/タクハタチヂヒメの楔生成機能を6ターンまでの有限とする代わりに、盤面の楔数✕50で計算される最大500の特殊ダメージを与える「殊楔」スキルを持って登場しました。このスキル設計には、少しずつ存在感の薄らいでいたオーラ天楔デッキにテコ入れし、火力の立上がりをよりクイックにしてスプリント性能をもたせる意図があったと思われます。
しかし、ディートリヒのリーダー性能自体、最新の水準よりやや低いもののまだまだ全然やれるレベルであったところ、楔の継続ダメージに毎ターン最大500ダメージを上乗せたアルベルティーネは明らかに火力が高すぎたのでした。
オーラ火力の上乗せと引き換えに楔生成ターン数には制限が設けられたものの、楔生成停止以降も盤面に刺さった楔による永続ダメージは続きますし、日常・ヴェークロストやエルヴィン団長(コラリー)等で盤面の楔を早々に飽和状態に持っていってしまえば楔生成が止まろうとあまり関係ありません。
試合の短ターン化のトレンドの中、アルベルティーネの天楔ターン数制限はほぼ足枷にならず、元からサブS駒もA駒も優秀だった天楔デッキのリーダー火力を大幅に高めたDeck Driveイベントは、そこから長く続くことになる苦し紛れの環境調整の幕開けとなったのでした。
苦しい対応が続いたアルベルティーネの調整
アルベルティーネが登場した直後、私はディートリヒの天楔デッキの試合を録画したものを使って、アルベルティーネのリーダー火力を算出するという記事を2本(概算と詳細分析)書きました(↓)。そこから分かったことは、実戦で試すまでもなく、単なる机上の計算からもオーラリーダーとしての火力が非常に高いということでした。
othellonia-ron.hatenablog.comothellonia-ron.hatenablog.com
特に神単デッキは元々HPが高く、その耐久を活かして火力に振り切ったゴリ押しムーブが成立してしまうのは、S5時代のツクヨミで既に我々は経験していたこと。楔デッキの実戦データを豊富に持っていると思われる運営にとって、アルベルティーネが過強化であることは事前に把握できたのでは?と私などは思ってしまいます。
過去に、単体で明らかに強すぎる駒が実装された場合、実装直後に性能を下方修正するという対応が取られたことがあります(ex. 進化フェイルノート)。そのケースでは、ナーフに対する補填として当該の超駒パレードで使用したかけらを返還するという措置が取られました。
アルベルティーネのケースでも同じ対応を取ることが可能だと思われましたが、運営は本体性能のナーフをしないという選択を取りました。もしかすると、リーダーであるアルベルティーネは、幅広いデッキに編成される可能性があるフェイルノートと違って同デッキ使用制限が掛けやすく、それで乗り切れるとの判断があったのかもしれません。
しかし、神駒の豊富な代替駒群の存在により同デッキ使用制限は思ったように機能せず、度重なる同デッキ制限の追加(糸雪→進化スゥ・進化ペトラ→進化アマテル・紬葵→進化スピカ・日常ヴェークロスト)を重ねた結果、もはやアルベルティーネを使用する意味に疑問を持つレベルまで制限が課されている現状があります。

結果論から見れば、これは明らかに実装直後にナーフしなかった判断が響いていると考えられます。ここまで同デッキ制限を重ねるぐらいなら、実装直後に本体ナーフ or スキルバッジ適用をすればよかったのになと個人的には思います。
実装直後であれば、当該のDeck Driveイベントで消費したかけらを返還措置の対象にすればよく、話はシンプルでした。しかしイベントから時間が経過してしまうと、かけらの補填対象が非常に分かりにくくなります。
例えば、「今アルベルティーネを持っている人」を補填対象にすると、「アルベルティーネのために大量に星のかけらを投じたけども獲得できなかった人」が対象から漏れてしまうことになります。2024年9月以降、全員が楔コレ等をどれだけ回してきたかを遡って集計する必要がある他、アルベルの登場を契機に日常・ヴェークロスト、異世界・アラジン、コラリー等のパーツを集めた人も多くいるはずです。彼らはアルベルの性能がここまで圧倒的でなければ、それらの季節駒等に投資しなかった可能性もあり、これらを全て考慮すると時間が経過してから補填対象のかけらの数を算出することは事実上ほぼ不可能であることがお分かりいただけると思います。
ある意味、フェイルノートやシアンの補填は実装直後だから実施できたのでした。このレベルでの補填措置は直後の判断が全てなのです。
アルベル実装を事前に止められなかった理由(推測)
ではなぜ運営は、この性能でのアルベルティーネ実装という判断を事前に留まることが出来なかったのか、について考えていきたいと思います。ここでは、① 性能が高すぎることに気付いていたけどあえて実装した、② 性能が高すぎることに気付けなかった、の2軸に沿って推測してみます。
① 性能が高すぎることに気付いていたけどあえて実装した
今のオセロニア運営には、エレメントのプロスペールや竜単火炎のザ・レッドのバフ倍率を12%に設定できた実績があります。
12%というバフ倍率は、殴りデッキのリーダー(40%)や毒デッキやマナリア火炎のリーダー(30%)等と比べると、S駒として数値上はかなり貧弱に見えます。しかし実際に使ってみると全然デッキとして成立しつつ、今後の強化の余地を残すようないい塩梅であることが分かり、新機軸のデッキリーダーとして非常に適切な性能設計であることに驚いた印象があります。
そんな優秀なオセロニアの駒設計チームにとって、仮にオセラボを実施していなくとも、既に大量の実戦データを持っていたであろう楔デッキの強化にあたり、アルベルティーネの性能が過強化である可能性を事前に察知できなかったというのは正直ちょっと考えにくいなというのが個人的な印象です。そうなると、多少の環境インフレは承知の上で、商業的なモチベーションから実装に踏み切ったというのが一つの有力な仮説かなと考えています。
常設のコレクションガチャは天井がなく、特定のS駒一点狙いとなると難易度が高くなるガチャですので、そこに環境中で広く使われる駒を忍ばせることができればガチャは良く回り、商業的な旨味が大きいと想像できます。昨年からDeck Driveイベントによる新機軸デッキの投入を高頻度で行っているのも、恐らく基本的にはそのような理由があると推測できます。
アルベルティーネだけでなくエレメントのプロスペールやマナデッキのアスリーンなど、特定のデッキタイプはどんなにパーツが揃っていてもリーダーがいないと始まらないため、特にユーザからの引きが大きく、新たなSリーダーを新設するために高頻度でDeck Driveが開催されている面は決して否めないと思います。
ある意味、確信犯としてアルベルティーネを投入したという可能性が①です。
② 性能が高すぎることに気付けなかった
2つ目の可能性についても説明します。①が有力かなとは思いますが、②の要因も少なからず影響していたかなと見ています。
ここで現在から少し時を遡り、昨年9月のアルベルティーネ実装前後の出来事について回想してみようと思います。

2024年2月の周年イベント、および5月の新シーズン開幕の余韻も冷めやらぬ中、5月末からはリリース3,000日記念祭と称して大型のイベントが開催され、周年イベントと同レベルの規模での新駒追加が行われました。
その流れで6月に新デッキタイプの「占星」が追加され、このすば!コラボを経て新シーズン「Meteor's Blue」が開幕します。新スキルのミーティアを搭載した御三家超駒の登場に加えて、ここから3ヶ月に渡って毎月Deck Drive開催と駒アップデートを実施する旨が発表されました。
そしてDeck Driveの第一弾が問題の~再雷の楔~であり、その後もコラボにDeck Driveに駒アップデートにと、留まることを知らないイベントラッシュが続いた後、シーズン1「ARCANA SUMMONERS」へと続いていきます。
これを見ると想像できると思いますが、新駒、新スキル、新デッキタイプの実装ペースが従来と比べると異常であり、明らかに駒設計チームのキャパシティを超えていたのではと思われます。次々と来訪するイベントに向けた業務に忙殺されて、新駒の設計や対戦環境調整に手落ちがあった可能性が考えられます。
アルベルティーネだけに飽き足らず、壊れ級のA駒・紬葵までもが同時に実装されたことは、Sリーダー投下による商業的な野心だけでなく、純粋に新生楔デッキの実力を正当に評価できていなかった可能性を若干感じますし、それらと並行して企画されたであろう占星デッキや、新スキル・アルカナ召喚が現状でほとんど使われておらず、このままでは「駄作デッキ・駄作スキル」として終わってしまう可能性すらある点も、当時の駒設計チームのキャパオーバー説を補強する出来事となっています。
このように、過度なイベント連発による駒設計・対戦環境設計の精度の悪化が、アルベルティーネの実装を招いてしまったのでは、というのが2つ目の視点です。
ガチャによる商業的拡大を追求しすぎることの副作用
上に記した要因①も②も、その背景にはガチャを通じた商業的な拡大のしわ寄せを共通する要因として挙げることができます。平たく言うと、ガチャイベントによって無理な収益拡大を狙いすぎたんじゃない?ということになると思います。
リリース後、オセロニアの売上が大きく伸びたと思われる2017年頃は、テレビCMの放映など各種メディアへの露出やコラボ、トップYouTuberを含むインフルエンサーとの連携などの販売促進による、ユーザ数の増加が大きな駆動力だったと思われます。しかし、10周年を目前にユーザ数の伸びが円熟した現在、収益を上げる方向性が新規ユーザの獲得ではなく、既存ユーザからの集金額増に依存しているというのが現状だと思います。
新駒を投入しようとすれば、イラスト発注費用や駒性能の設計コスト、S駒以上であれば声優さんへのギャランティが毎回決まって発生します。ロイヤルやグローリーなどのコンテンツも増えた今、駒設計や対戦環境調整には昔よりも慎重できめ細やかな配慮が必要になっていると思われ、駒投入に要するコストは上昇傾向にあるのではと想像します。
TCGソシャゲであればガチャ収益で稼ぐというのは本来の道ではあるものの、過度なイベント乱発による新駒投入は、①駒設計の詰めの甘さや環境調整不足によるユーザ満足度の低下、②課金について行けない・トップ層から遅れを取っていると感じた既存ユーザの離脱等の問題を引き起こします。
これによる、ユーザ数増加の伸び悩み→既存ユーザからの集金水準増加→さらなるユーザ数の停滞…という負のループに陥ることは是非とも避けたい、というのは、運営だけでなく現在オセロニアをプレイしているユーザの大多数にも共通する想いだと想像します。
未来のアルベルティーネを再び生まないために~新たな収益源の確保~
行き過ぎた性能の駒を実装してしまったとき、本体性能のナーフにより対象の全ユーザにかけらの補填を行うか、それとも無理のある同デッキ使用制限を重ねに重ねるという場当たり的な苦しい対応を続けるか、という苦渋の選択を強いられるのは、運営としては望ましいことではなく、できれば避けたい事態であることは疑いようがありません。
運営チェックをすり抜けてアルベルティーネがこの性能で実装された事情が、上で考察したようなガチャペースの高さによるものだったとするならば、ガチャのイベント頻度に頼らない別の稼ぎ口を見つけることが、円熟期を迎えたオセロニアの持続的な発展の方向性なのではと考えることが良くあります。
「新たな稼ぎ口」だなんて言うは易く行うは難しの典型だとは思いますが、ここでは恥を忍んでフラッシュアイデア的に思いついたものを列挙してみたいと思います。これらは当然DeNA社内でも1度は検討された上で却下されてきた施策ばかりだとは思いますが、ユーザの目線でもあえてそれについて考えてみることには一定の価値があると感じたので、書いてみます。
① ゲーム内の要素・機能に課金できるようにする案
課金によるプロフ枠拡張・スキンポイント販売拡大
現在のプロフ画像は全部で5枠まで設定でき、そのうち1つしか使っていないという人もいれば、5枠では全然足りないという人もいると思います。既に5枠使い切っている人が新たにプロフカードを購入して設定する場合、気に入っているプロフのどれかを崩す必要が出てきます。
そうなると、それ以上積極的にプロフカードに課金をしようという人も気分を削がれてしまうのでは。

そこで、プロフカードの枠を拡張するための課金ポイントを設定し、また現状で配布がメインとなっているスキンポイントの販売機会を増やすことで、キャラクター駒への投資とは違った軸での収益を確保できるのでは?という浅い浅いアイデアが1つ目です。
課金によるデッキスロットの拡張
個人的に、オセロニアはデッキを組んでいる時が自分の中で楽しい瞬間の上位に入るのですが、様々なデッキタイプが増えた現在、デッキスロットが20枠あっても窮屈に感じます。
主なデッキタイプだけでも20種をゆうに超える中で、そこから特定の補正に特化した派生型やネタデッキなどを組みたい、あるいは新駒が登場した際にすぐに試せるよう空き枠を作っておきたい、などのニーズは確実に存在しているものと想います。

デッキスロットは十分足りているというライトユーザーではなく、デッキ構築というオセロニアの楽しみを味わい尽くしたいというヘビーユーザーに向けた機能拡張だと捉えれば、開発コストをヘビーユーザーからの課金により賄うというのはある意味で正しい方向性だと考えることもできなくはないでしょう。
ポケポケのプレイマットやデッキシールドなどのようなカスタム要素
試合中の盤面やゲーム前のロード画面などに、人気キャラクターやオセロニアの世界観をテーマにしたアートをカスタムして嵌め込める領域を用意して、そこのパーツを課金対象にするというのも一案です。
必要ない人には全然刺さらない機能だとは思いますが、推しのキャラクターや世界観で対戦画面を彩ることで、対戦に潜ったりゲーム画面をSNSにシェアしたりするモチベーションがアガるよ!っていう人もそれなりにいるのではと思います。

② 膨大なキャラクター資産を活かす
オセロニアには7,500を超えるキャラクター群と、その背景に連なる世界観やキャラクター設定という圧倒的な資産があり、それもあってアート勢による二次創作の取り組みが活発なコミュニティを有しているのも特徴的だと思います。
そこで、この豊富なキャラクター資産を活かしたグッズ売上にもっと注力してみるのも安直に思いつくアイデアではあります。
同じDeNA社内にはベイスターズショップという参考になる事例もありますし、10年目を迎えるオセロニアには社会人となって稼ぎを上げているプレイヤーも多いと思うので、大人向けの多少高額な日用品やアパレル等でも訴求できる可能性も?

あるいは、キャラクターのさらなる詳細に踏み込むことができる公式設定集や、ゲームやリアルイベント運営の裏側をまとめた公式ファンブック(?)の発行なども、コアなファン層の拡充のためにはありかもしれません。
ヘビーなアート勢は、キャラクターの違ったアングルからの描写や裏設定などを自らの創作に活かしたい!という人もいるのではと思います。出版コストが掛からないオンライン公開とし、ゲーム内では見れないキャラクターの素顔にアクセスできる仕組みを用意することで、二次創作のためのプラットフォームとして活用してもらうというアイデアです。
③ DeNA内の別事業とのコラボ
DeNAは多角的に事業を展開しているとても面白い会社なので、他の事業との相乗効果を狙うアイデアも一考の余地はありそう?
例えばスポーツ事業とのタイアップによって、相互の事業にユーザが流入し合うというWin-Winの関係を構築することもできそうです。
④ メタバース上でリアルイベント
これも別事業との連携にカウントされるかもしれませんが、オセロニアのアイデンティティの一つであるリアルイベントの門戸をより多くの人に開きつつ、新たな価値を提供する一つの方法として、メタバース空間上で仮想のリアルイベントを開催しユーザや運営間の交流を図るというものもアイデアとしては面白そう。
仮想空間を活用すれば、人によってはリアルイベントに参加する上での大きなハードルとなり得る物理的距離や交通費、宿泊費などの障害を乗り越える手段を提供することができます。
⑤ 盤面を利用した広告
オセロニアの盤面はSNS上での共有やミラティブ配信、YouTube配信などを通じて、多くのプレイヤーの目に触れる機会があります。
その盤面に広告の枠を設けることで、露出頻度に応じた広告収入を得るというベーシックなアイデアも思いついたままに垂れ流してみます。
まとめ
最後の方は少々話が発散しましたが、最近のオセロニアのイベントペース・新駒投入ペースの早さによって駒設計や環境調整に粗が生じている面が少なからずあるのでは、という(皆うすうす感じつつも)正面を切って議論されている感があまりない切り口での記事でした。
後半の新たな収益源については半分冗談のネタ的なフラッシュアイデアではありますが、ガチャとは別の収益源を確保することはけっこう重要なことなんじゃないかと本気で考えています。
そうなることで、ガチャペースの早さやインフレの加速というユーザの満足度低下を招きかねない状況をある程度回避することができ、設計チームは実戦データの分析とそれを通じた対戦環境の整備という、対戦ゲームとして最も基礎的で重要な活動に今よりも労力を割くことができるようになると考えるからです。
今日の記事はここまで。