オセロニア「論」

思考や情報の整理のために書いていきます。

【逆転オセロニア】4月のルール調整がここまで環境を動かしていた

少し前のデータにはなりますが、S5ツクヨミデッキの流行をきっかけとした4月のルール変更期間中に、少し興味深い現象が起きていたので共有したいと思います。

S5ツクヨミがもたらしたもの

以前の記事にも書きましたが、フェイルノートを編成したツクヨミデッキが猛威を振るった結果として、4月のチャンピオンシップ開催中に限り2つの環境調整が行われました。

改めて、2023年9月のツクヨミデッキの登場は、振り返ってみるとオセロニアの環境に大きなインパクトを与えたな、と思っています。

ツクヨミデッキがあれほど強かったその要因は、爆発力と耐久性を高次元で兼ね備えていたからだと思います。そして、それを可能にしているのは計6800アド取れるリーダーツクヨミの性能と、サブ駒の性能の両方です。

まず耐久面ですが、そもそもデッキHPが31000を超える堅さに加えて、オーダーAとDの回復で合計2500回復が得られ、さらにフェイルノートの矢筒コンボのボルトヒールによる回復も見込めます。

この基礎耐久の高さを盾にして、編成も立ち回りも攻撃にほぼ振り切ったような、S5ツクヨミなるデッキが大流行しました。ツクヨミがオーダーA~Cで4300の火力を場に出すことなく発揮しながら、いわゆるグッドスタッフと呼ばれるような、単体で強力な神S駒4枚がサブを固めており、召喚駒を使いながら強引にコンボを繋げていくだけで、気付けば相手が消し飛んでいるという、一方的で凶悪な爆発力も兼ね備えていました。

このツクヨミが環境に何をもたらしたかと言うと、私は試合スピードの加速だと考えています。

じっくりと時間を掛けて勝負を進めようとすると、フェイルノートを引かれてあっという間にオーダーCまで達成、追い打ちをかけるペトラ→スゥで試合終了というように、S5ツクヨミが圧倒的なスピードで次々と相手を沈めていった、という時代がありました。

一時的な環境調整により起きていたこと

そして、2024 2nd SEASON開幕の公式配信内で、プロデューサーが示したグラフがこちら。

これは、3月と4月のシーズンマッチ無補正における、トップ15デッキの使用率と勝率をまとめたもので、S5ツクヨミの有無による環境の変化を反映しています。

3月と4月の勝率データ。ツクヨミが激減し、それに伴う他デッキの上下があるなど環境が動いた

ツクヨミ使用率の激減とその影響

ルール調整のインパクトは想像以上に大きく、あの権勢を誇ったツクヨミデッキが、4月にはなんと速竜デッキ以下の使用率にまで順位を下げていました。

そして興味深いのは、ツクヨミデッキの凋落に呼応する形で使用率を上げているデッキ達です。具体的には、ヨアケ閃撃、暗黒竜、オーラ天楔などのデッキです。

私は以前の記事で、ツクヨミデッキの弱体化により上昇する可能性のあるデッキとして「閃撃」「暗黒竜」を挙げていました。

othellonia-ron.hatenablog.com捕食やバリアでHPを保ったり閃気を貯めたりしながら、終盤に大きな一撃で飛ばす暗竜や閃撃のようなデッキは、そのコンセプトの関係で速攻が難しく、フィニッシュラインまで持ち込む前にツクヨミに押し切られていたのでは?というのがその予想の理由でした。

4月のデータで彼らの使用率が上昇しているという事実は、ツクヨミ弱体化後の環境では彼らが再びやりやすくなるのでは?との見立てが、ある程度正しかったのかなと思います。

暗竜にとっては、ツクヨミ自体の存在もそうですが、ツクヨミ対策として採用が広まったアンチヒールもキツかったと思いますね。私もついアンチヒール(アルト)は1枚入れたくなる習慣がついてしまったように思います。

同様に、ツクヨミ環境がもたらした副産物として遠夜採用があり、天楔デッキもその影響をもろに受けていたわけですが、ツクヨミ後も環境にはアマテルがおり、遠夜の方もそこまで減っている印象はありません。それでもディートリヒが上昇しているのは、単純にフェイルノートの新たな移籍先で使われた、というところではないでしょうか(4月時点ではツクヨミ、アマテル、ヒュプノスにフェイルノートとの同デッキ制限が掛けられており、フェイルを使えるまともな神デッキは少なかった)。

混合デッキがやや上がっているのは、主に4月の強駒パレードで登場した超強い竜A駒、ラティーナの影響だとは思います。ただ、基本的にS4構成でしっかりと形を組んで火力を出す殴り系デッキにとっても、形を組まずしても火力を出せるS5の非殴り系デッキは対面していて厳しいところがあったと思うので、ツクヨミ低下による追い風を浴びた影響も多少はあるかもしれません。

ツクヨミの勝率の低さ

もう一つ着目すべきなのは、4月のツクヨミデッキの勝率の低さです。

ツクヨミの勝率グラフは、メルヴェよりも低くシアンと同程度の位置にプロットされている

先程のグラフに筆者が補助線を引いたものがこちらですが、ツクヨミデッキの勝率はメルヴェユールデッキ以下、シアンデッキとほぼ同等なラインまで低下しています。

正確な勝率の値は4月のシーズンレポートが出てきてからでないと分かりませんが、メルヴェユールデッキ以下、シアンデッキと同等ということは、2月・3月のシーズンレポートから推測すると恐らく48%前後の勝率だったと思われます。

前の月に63.9%を叩き出していたことを考慮すると、文字通り凋落と表現するに相応しい勝率の低下具合だと言えます。フェイルノートとS5構成によるパワーが、いかにツクヨミを環境の頂点に押し上げていたかを如実に表しているデータだと思います。

恐らくですが、フェイルノートを編成できないことにより、ツクヨミデッキの黄金ムーブである「矢筒で攻撃と防御(回復)をしながらオーダーCを前倒しして、オーラながら6800アドを高速で叩き出す」ことが相当難しくなっていたのではないでしょうか。

オーダーCが達成できないと回復込みでも合計5200アド(しかも、そのうち火力はたった2700)しか出せないので、A枠に目ぼしい召喚駒の少ない神デッキは何かしらのS召喚駒(もしくはコスト15枠)を編成することになりますが、フェイル編成禁止で召喚駒自体のパワーも格段に落ちていること、加えてS5構成の上振れ狙いもできないとくれば、火力は相当に削がれた状態になっていたことが想像できます。

これに対して、アマテルは場に出して即座に5000火力、さらにコンボを繋げられれば追加で2500~3000程度の火力を序盤から出すことができるので、召喚駒など気にせずともツクヨミ以上に気軽に5000~8000の火力が出せることから、S4環境においても高い勝率を出せていたのだと考えられます。

このように、ツクヨミデッキに向かい風となった4月の環境では、S4環境で立ち回りやすくなった殴り系デッキの雄・神殴りデッキと、新時代のお手軽大火力リーダー・アマテルの前に、完全に後手を踏んで勝てなくなり、その結果さらに使用率が下がるという負のループに陥っていたのではないかというのがデータから読み取れます。

まとめ

一時的なS5以上編成制限と進化フェイルノートとの同デッキ制限により、ツクヨミは4月に想像以上に勝てなく・使われなくなっていました。最強召喚駒と残りのS枠でのゴリ押しムーブが没収されたツクヨミは、同じくパワーのある神殴りやアマテルデッキ等の後塵を拝する形となり、その凋落が他のデッキの動向にも影響を与えるほどの1ヶ月だったということをデータは示唆しています。

4月のデータを含むシーズンレポートが発表されると、対面ごとの勝率などより詳細なデータを見ることができるようになるので、改めてデータを眺めてみたいと思います。それと、ツクヨミに代わって現在暴れているアマテルについても、どこかで記事にしたいなと思います。