オセロニア「論」

思考や情報の整理のために書いていきます。

ツクヨミ-フェイルノート環境の成立と今後の展望について ~③これからどうなる?をプチ予想~

ツクヨミ-フェイルノートについて3つも続けて記事を書く予定はなかったのですが、書いていたら長くなってしまったので分割することにしました。

前々回前回の記事で、単なるフェイルノートとツクヨミの組み合わせに限った問題なのではなく、属性ごと・レアリティごとのパワーバランスの歪みがより本質的な問題なのでは?というお話をしてきました。

othellonia-ron.hatenablog.com

othellonia-ron.hatenablog.com今回は、ツクヨミデッキに対する環境調整が入った後、どのような世界になっていくのか(というか、既になっているのか)について、肩の力を抜いて想像をしてみます。

これからどうなる?

ツクヨミは弱体化

まず、言うまでもないことかもしれませんが、

ツクヨミデッキは弱体化します(しています)。

ツクヨミは、オーダーを達成してアドを取っていくリーダー駒で、一般的に最もハードルが高いのはコンボ3回達成というオーダーCになります。先攻を引いてしまった時やコンボ封印された場合など、流れの中で3回分のコンボを稼ぐのが難しい状況に陥ると、オーダーCの1600雷撃が得られずに合計5200アドしか取ることができません。

そのため、安定してオーダーCまで完了し着実にアドを取るために、召喚駒で安定させるのがツクヨミデッキの基本です。

その召喚駒としてのフェイルノートは、最大4つも盤面に召喚される矢筒でオーダーCの着実な前倒し達成を安定させつつ、矢筒自身の強力なスキル・コンボでアド差を拡げていくという一連のムーブがあまりにも凶悪で、今回の規制に繋がったのでした。

なので、召喚スキル持ち神駒の最高峰とも言えるフェイルノートの編成が規制された以上、弱体化は必然的といえます。

そもそも神単条件で合計4つも召喚できる駒は進化フェイルノートの他にひな祭り鈴里しかいませんし、その召喚駒のコンボはデバフを増殖させていくというもので、直接火力には寄与しません。つまり、ツクヨミにとってフェイルノートを失うことは、オーダーCの安定と召喚駒の火力の両立を失うという大きな意味があるのです。

加えて、仮に頑張ってオーダーCが達成できたとしても、HP50%を切るタイミングに合わせてアンチヒールを置かれてしまうと、HP管理の重要な試合終盤に差し掛かる段階で2000回復のオーダーDが自らを蝕むダメージに変わってしまいます。オーダーDに対するアンチヒール効果は、60%変換のアルトで1200ダメージ、100%変換のハールート・マールートで2000ダメージとなり、ツクヨミによる総合アドバンテージ量はオーダーCを達成できてもそれぞれ5600, 4800と目減りしてしまいます。

このように、アンチヒールを使われると、リーダー駒のアド量としてはきわめて凡庸な値しか得ることができなくなることに加えて、HP管理がよりシビアな後半に自傷ダメージを食らい自らのリーサルラインを下げてしまうような逆アドを取られてしまいます。

以上の理由から、フェイルノートが使用できない今、ツクヨミデッキは未だに強くはあるものの一線級という感じではなくなっていると感じます。「環境デッキを組むぞ!」と息巻いてガチャを引き最近手に入れたばかり、という人は少し気の毒だと思いますね。

代わりの召喚駒は?

フェイルノートの代用駒として何が良いか、は規制前から色々と議論が進んでいると思いますが、個人的に有力だと思う候補をピックアップします。

カップ戦で大暴れする桔梗

 

[悲運の巫女] 桔梗と死魂

 

犬夜叉コラボ駒として登場し、度々カップ戦で大暴れする姿が目撃されている桔梗です。

最強級コラボ駒の候補としてもしばしば名前が挙がるなど、特に低コスト帯では強力な性能を有しています。

フェイルノートの代替として、まずこの駒が浮かんだ方も多いのではないでしょうか?

ちなみに、私は犬夜叉コラボを経験していない復帰勢なので、未所持です。なので、この駒について語れることはほとんどありません(涙)

3召喚に3ターンかかりますが、死魂虫は600吸収(600ダメージ+600回復)、コンボは自キャラ参照最大1500ダメージということで、火力出しながら耐久を上げてくれるという面ではフェイルの矢筒と似ているけどスキル・コンボが逆になった感じの使用感かな?と想像しています。

デバフを撒けるサマー・アルテミス

 

[パニックプール] アルテミスとサマー・ケリュネイア

 

ランダムの場所に2つ召喚されるのは、30%のデバフを消されなければ2ターンに渡って与えることが可能なサマー・ケリュネイアです。ツクヨミデッキがやや苦手とする殴り系に遅延を掛けることができます。

30%のデバフ2個ということは、相手のATKをおよそ半分にできるデバフ量です(0.7 x 0.7 = 0.49)。

これは例えば、相手が正月蘭陵王リーダーでミューズ設置、フェリプティ持ちでHP50%に達した段階(バフ量は x 1.4 x 1.2 x 1.15 = x 1.932)に、エンデガを2.0倍のコンボに繋げた場合を想定すると、通常は1枚返しでおよそ12,650の火力が出るのですが、これを6,200程度にまで軽減するほどの威力があります。

この、バフを焚き付けて2倍コンボに繋がれるという顔面蒼白のシーンは対神殴りであるあるだと思いますが、うまく行けば2ターンに渡ってその被ダメを6000程度に抑えられるというのは相当なものだと思います。

召喚駒のコンボのダメージも自駒参照で2000まで伸び、アルテミス本体も4500まで伸びるので、バフ対面で終盤のリーサルをずらしながら、オーダーCと召喚コンボで飛ばしていくというのは運用として強そうです。

古い駒なのでややHPが低い点が気になりますが、そこはイラストの可愛さで十分にカバーできていると思います(?)

コスト15の観光ルルカも候補に

 

[縁の音] ルルカと鳴響三線

 

ルルカフェスタ'22のイベント駒として登場したコスト15の観光'22 ルルカを、周年エアレー1枚と共に編成したS4B1構成も候補になってくると思います。

観光ルルカは2ターンに1つずつ三線を召喚するということで、神ブラ召喚を2ターン連続で行うようなイメージです。召喚場所が悪ければその都度消されて場に三線が残らないということもありえますが、先攻初手からうまく行けば2ターン連続でコンボを繋げることが可能です。コンボ面で不利な先攻を引いてしまっても、3手目までにオーダーC一歩手前までいける可能性があるのは心強いです。

三線自体のスキルもしっかり600ダメージx2ターンを入れてくれますし、コンボも雷撃ダメージなのは良いですね。ルルカ自体のコンボも自分の神駒に応じて火力が上がっていくというフェイルノートに似た仕様になっています。

ルルカ採用の良いところは、召喚にSを割いていないところです。召喚S駒がフェイルノートぐらい強力なら良いのですが、そうでないならペトラ、スゥ、キンマモン or ウィブサニアなどの構成ができる方が全体としては強いと個人的には思います。

実運用上、フェイルノートは2ターンに分けて2つずつ、計4つの矢筒を召喚なので、1度もコンボできずに終わることは稀ですが、2体しか召喚できない夏アルテミスや観光ルルカは、夏ブラに加えて闘化ハルアキなども採用したほうが安定するかもしれないです。代償の入るツクヨミデッキには相性が良い駒ですしね。

闘化ハルアキ

ツクヨミに迫害されていたデッキ達の復権

さて、今回の措置によって、それまでツクヨミ登場によるあおりを受けていたデッキの復権の可能性が出ています。

個人的にすぐ思いつくのはヨアケ閃撃です。

昨年の7月に登場したヨアケは、閃撃デッキの新リーダーとして華麗なスタートを切りました。

それまで閃撃デッキのリーダーは、手駒に閃気を付与するだけで火力には直接貢献していなかった存在だったところ、閃気の付与に加えて毎ターン450~600のアドを取ってくれるヨアケの登場により、とたんに火力・耐久力ともに一級線の強デッキへと昇華され、環境トップの一角を構成するデッキとなりました。

ですが、あまりに強さが目立ちすぎたのと同時にヘイトも溜めて、早速同年9月にはニルスとの同デッキ制限が課され、A駒のメイン火力を剥奪されましたのも記憶に新しいところ。

それと時期を同じくして、ヒュプノスデッキがフェイルノート同デッキ制限により激減し、代わりにヨアケの苦手とする神単殴りが増えたこと、さらにツクヨミデッキが登場したことで、あっという間に覇権を奪われてしまったのです。

ツクヨミに覇権を奪われてしまった主な理由としては、スピードの違いが挙げられると思っています。

ヨアケ閃撃はピーク火力/耐久力ともに優れたデッキですが、フィニッシャーであるリュミエットの最高性能を引き出すには最短で8ターン必要とするなど、そもそもと強さを発揮するにはやや時間がかかるデッキでした。

そこに現れたツクヨミデッキは、フェイルノートという壊れ駒とのシナジーを発揮しながら、全オーダー達成でリュミエット(7000)に肉薄する6800アドを、リーダーオーラ駒として(=場に出す1ターンを消費することなく)得ることができます。

それに加えて、サブからペトラやスゥなどが飛んでくるということで、既にニルスという中盤のメインソースの1つを取り上げられたヨアケ閃撃デッキにとって、フェイルノート規制前のツクヨミデッキは対面のダメージレースに勝つことが難しいデッキとなっていたのです。

参考までに、以下にシーズンレポートの勝率表を示します。

ツクヨミが現れた9月当初、閃撃デッキはツクヨミデッキに対し勝率54.10%と有利を取れていたのですが、その後着々と神単A駒の強化が進み(ユウキ、探求ヌアザ、聖イオフィエル)、さらにスゥも実装されS5構成が定着した2月の最新データでは42.59%まで勝率を下げています。

2023年9月と2024年2月で閃撃vsツクヨミの勝率を比較すると、どれだけツクヨミの強化が進んだかが良く分かる

この期間中、閃撃デッキはほぼ強化がなくデッキ構成に大きな変化が無かったので、ある種の指標として見ることができます。その閃撃デッキに対してツクヨミは大幅に勝率を上昇させているということは、どれだけツクヨミの強化が短期間に進行したかを示しています。

そして、ヨアケから見ると、環境において急速に優位性を失い勝つのが難しくなっていったと言うことができます。

駒の強化とデッキ構築の成熟が進んだツクヨミデッキにとって、もはやヨアケ閃撃はディートリヒ天楔やアナン以上に有利を取れる相手となっていた、というデータには個人的に結構驚いています(ヨアケは相当強いという印象がまだ鮮明ですので。)

そして現在、フェイルノートを没収された結果としてツクヨミデッキは大幅に減ったとは言え、依然として神殴りが多い無補正環境では厳しい側面があると思いつつも、補正次第ではヨアケが再び強さを発揮する時期が再来しているかもしれません。

また、もう一つツクヨミ環境で明確に迫害されていたデッキとして思いつくのが、暗黒竜デッキです。


彼らの基本的な立ち回りとしては、辺に鱗駒を張りつつ、捕食で持ち堪えながら相手を徐々に削っていき、ランタイ・シェンメイを手駒に引き込んで飛ばすというものです。

しかし、ツクヨミの最大火力とそのスピードは彼らの捕食で耐えうる量を基本的には凌駕していて、最新のデータ(※暗黒竜は2月にいたってはランクからも消えている(!)ので1月のもの)では、ツクヨミ対面の勝率は29.88%と惨憺たるものです。なんと、神殴り(33.21%)以上に相性が悪いのには驚きでした。

ツクヨミデッキの流行が、環境においてアンチヒール搭載をデフォルトにしたことも暗黒竜を苦しめたと思います。また、ツクヨミデッキ自体もアンチヒールを搭載しているのが普通でしたので、これもツクヨミに対して相性が悪かった要因の1つでしょうね。

ツクヨミ後の環境でも相変わらず神殴りは元気が良く、未だに暗黒竜は苦しい立場であることに変わりはありませんが、先日のDeck Driveで魔駒の強化があったこともありメルヴェユールなど魔デッキがやや増えている感があるので、「来る日も来る日もツクヨミにアンチヒール出されてしばかれる」みたいな日々ではなくなることでしょう。

アンチヒールや特殊雷撃メタ駒の行方?

ツクヨミデッキの流行によって、入るデッキならとりあえず入れておけ的スキルの代名詞となったアンチヒールや特殊・雷撃対策(罠、魔紋/奪紋、シールド)の駒たちは、今後どうなっていくでしょうか?

こればかりは、今後の環境がどのように推移していくかが不明瞭なのでなんともですが、現状の無補正の印象では遠夜などの特殊・雷撃メタもアンチヒールも、減ったけどまだ普通にいる、という印象です。

アンチヒールというスキルは、私はツクヨミ環境になって始めて使ったのですが、今ではやや手放せなくなっているな、と感じます。

特に非バフ系のデッキは火力の上限がある程度限られている場合が大半で、このようなデッキで暗黒竜や回復耐久、回復系のアレスデッキと対面すると、私の盤面を読むスキル不足もあり、削りきれなかった時に難しい勝負になることが多々ありました。アンチヒールをデッキに入れていると、このような対面で感じるヒヤッと感がかなり軽減されますね。

リベンジが強い!?

前々から感じていることですが、全体的なデッキのパワー・スピード向上のトレンドが続いており、1ターンあたりの火力が上がってきていると思っています。そのトレンドを受けて、相手に耐えられて盤面詰められる危険性よりも飛ばし切れる可能性の方が上がっており、大胆な打ち方(言い換えればやや捨て身のプレイ)をするプレーヤーが体感で増えているような気もしています。

このような、定期的に中~大火力を出してくるデッキが増えた環境を考えた時、ひとつのマイナーデッキが意外と有力なのではという説が少しずつ私の中で浮かび上がってきました。

そう、リベンジデッキです。


リベンジデッキは、回復や吸収を織り交ぜながらじわじわと真綿で締めるような対面は苦手とする一方で、適度にゴリ押し気味なデッキは比較的処理しやすいという特徴があります。

そして、闘化フェルグや村正、スカアハといった魔単の耐久力強化が進んでいる現在、腰を据えて真剣に取り組む価値のある面白いデッキだと思っているのです。

周年イベントでナナ&ララという強化をもらったこともあり、私は最近、闘化アナンリーダーのリベンジデッキ、通称アナンジ(私が勝手に呼んでいるだけ)でシーズンマッチを潜っていることが多いのですが、実はこのデッキ結構やれるのです。

またこのデッキについて、別途記事を書こうと思うのですが、アナン自体の特性とフェルグのディザイアスキルがリベンジと噛み合っていると感じますし、何よりハロウィン・メルヴェユールが超強いです!

 

ハロウィン・メルヴェユールと仮装骨

 

この駒、隠れた優秀な季節駒ランキング(私の中の)では3本の指に入るほど、リベンジデッキ用として優秀だと思っています。盤面にリベンジコンボをばら撒けるという行為が想像以上に強く、ハロウィン・メルヴェを置いて召喚できれば、体感でなかなかの勝率が得られる(※相性が絶望的な暗黒竜や耐久などでなければ)という印象です。

是非、駒が揃っている人は一度組んで欲しいデッキだと思っていますね。

まとめ

というわけで、以上3回にも渡り、ツクヨミデッキを巡る今回の顛末について振り返りました。

決してツクヨミ(だけ)が悪者なのではなく、神駒が全体的に強くなり過ぎていること、フェイルノートという強すぎて環境内での扱いが非常に難しい駒について、属性だけでなくレアリティ間のアンバランス、などについて、思うところを述べてみました。

魅力的な強さを持つ駒を投入することで収益を確保したいという思惑と、それによって環境が壊れすぎるとユーザー体験が悪くなるという現実の狭間にあって、環境の調整というのは非常に難しいんだなということが容易に想像できます。

それが、8年もの資産が積み上がっているコンテンツなら尚更だと思いますが、このコンテンツが少しでも長く発展するように、運営さんには是非とも頑張ってもらいたいものだと思いますね。(おわり)