
3/31の17時にX上で公開されたプロデューサー動画にて、今シーズン開幕から話題をさらってきた感のある闘化マキュリスと進化マシュカ入り竜殴りデッキについて、4/1から調整が施される旨が発表されました。
闘化マキュリスと竜殴りデッキに対するナーフが発表される

今シーズン、3月までのシズマに少しでも潜っていた人なら誰もが感じていたであろう環境の酷さは、もはや隠しようがないところまで来ていたと感じています。
論点は様々あるのですが、基本的にはS超駒を中心とした駒のインフレによるゲームバランスの欠如、中でも新春御三家超駒の闘化マキュリス、闘化テルミオス、進化マシュカが話題に挙がることが多かったという認識です。
むりやり論点を3つに絞って整理すると、個人的な観測範囲では主に以下のような点が議論の中心になっていたかなと思います。
- 闘化マキュリス、闘化テルミオス単体の性能の過剰さ
- 闘化マキュリスと闘化テルミオスが元々競争力のあるデッキで共存できること
- 進化マシュカによって竜殴りデッキが実質3オーラ状態になること
また、本ブログでも、ディメンションスキルを持った新春御三家の強さについては、以下の記事にて触れています。
othellonia-ron.hatenablog.comothellonia-ron.hatenablog.com
そんな中、今回の動画中で述べられていた環境調整策は以下の通りとなります。
1. 闘化マキュリスに関する同デッキ使用制限
- 闘化マキュリス✕進化ヴァイセ
- 闘化マキュリス✕進化エンデガ
- 闘化マキュリス✕進化アラジン
2. 竜殴りデッキに関する同デッキ使用制限

- 進化ヴィンス✕進化ナルアダルア
多くの人が予想・期待していたように見える闘化マキュリス✕闘化テルミオスの同デッキ使用制限ではなかったこと、進化マシュカに触れるのではなく捕食の方に切り込む内容だったところが、少し意外だなと感じた点でした。
ここからは本調整について考えていきたいと思います。
1. 闘化マキュリスに関する同デッキ使用制限について
事実関係
闘化マキュリスに関する同デッキ使用制限について考える前に、本制限の前提として考慮されているであろう勝率データについて、まずは事実関係を整理してみたいと思います。
シーズンマッチの最新の対戦データ(2月のダイヤモンドマスター帯)について、以下のデータが公表されています。

ここから、以下の事実関係を確認できます。
- 使用率上位2デッキは神10デッキ(フィーロ19.16%・アマテル11.06%)
- 全体勝率:フィーロ52.84%、アマテル53.90%
- ヴィンス:52.52%、シアン:51.67%、混合殴り:50.76%
これらを前提とした上で、本制限について少し考えてみたいと思います。
所感・考察
「あ、そこなんだ」と感じたが、理解できる
まず、闘化マキュリスの同デッキ使用制限に関する情報に触れたとき、「あ、そこなんだ」というのが個人的な感じ方でした。同じように感じた方は筆者だけではなく、他にも多数いらっしゃったことと想像します。
恐らく闘化マキュリス✕闘化テルミオスの同デッキ使用制限という調整を予想していた人が多かったと思われる中で、実際に適用されることになったのはヴァイセ、エンデガ、アラジンという汎用的に使えるAフィニッシャーとの同デッキ使用制限でした。
しかし、よくよく考えてみれば、マキュリスは神10デッキのみでなく、魔駒が1枚でも入る余地のある(魔単など一部デッキを除く)デッキ全てに編成される可能性がある、デッキ条件の緩い駒です。
そして実際にデータを見てみると、平均勝率が50%を上回っているデッキは、速攻竜を除き、全てマキュリスが編成されていた可能性があるデッキ(フィーロ、アマテル、ヴィンス、シアン、混合殴り)となっています。逆に、使用率TOP10内で勝率が50%を切っているデッキは、新登場のノヴァを除き、すべてマキュリスが入らないデッキ(竜血、カイオス、閃撃)です。
つまり、マキュリス編成の可否が勝ち組/負け組デッキを分けている可能性が高いということが仮説として成立しそうです。
このような広範な影響範囲を考えた場合、神10のみに掛かるマキュリス✕テルミオス制限ではなく汎用Aフィニッシャーとの制限という選択はたしかに理解できるものだなと感じました。

また、動画内で理由として挙げられていたのは、ディメンションスキルが強い側面の1つである「手駒整理+デッキ圧縮+ドロー促進」を特に論点としたものだったことから、テルミオスではなくA駒フィニッシャーとの制限となったことも想像できます。
新春以降は神10デッキが倍増
一方で別の観点から見てみると、マキュリス、テルミオスなどが登場した新春を境として、フィーロ・アマテルという主要な神10デッキの使用率が倍増しています。

もともと使用率1位だったフィーロはそこからさらに2倍近くにまで伸びる支持(11.14%→19.16%)を得て、アマテルも2.3倍以上の伸び(4.79%→11.06%)を見せています。
その他、2月の周年御三家として実装されたノヴァやカイオスの登場、新春御三家の進化・闘化マシュカ実装による速攻竜・竜血デッキやニルス解禁によるヨアケ閃撃の躍進が見られる一方で、既存のTOP10圏内だったデッキはヴィンス、シアン、混合殴りを残してランク圏外へと使用率を落としています。
使用率が倍増したフィーロ・アマテルと下げ幅が一番小さかったシアンはいずれもマキュリス・テルミオスの共存が可能な神10~15デッキ構成を組むことが可能で、ヴィンスと混合殴りもマキュリスの編成が可能です。
このデータからはマキュリスの使用可否、特にマキュリス✕テルミオスの共存が可能な神10デッキというフォーマットであるか否か、ということが高い支持率を得る重要な要素になっていたことが伺えます。
アマテル・フィーロは思っていたほど勝率が高くなかった理由
1月、2月と主に竜血デッキを使ってプレイしていた実感としては、フィーロ・アマテルを筆頭に神10デッキにとにかくよく遭遇し、そして彼らによくシバかれたという印象のシーズンマッチでした。
実際に2月の勝率を見てみると、他のデッキに対して軒並み高い勝率(特にアマテル)を誇っていることが分かります(下図、赤枠)。

しかし、これら神10デッキの全体勝率に目を向けると、フィーロ52.84%、アマテル53.90%と、一時期のアルベルティーネなど大暴れしていたデッキと比べると突出して高い勝率ではないことが分かります。
これは、両デッキを合わせて合計30%を超える使用率を占めており、なおかつ両デッキ間の対戦勝率がほぼ互角であったことによると思われます(上図、青枠)。アマテル vs アマテル、フィーロ vs フィーロの試合は当然勝率50.00%として処理されますし、アマテル vs フィーロ間の勝率も49.25:50.75であったことから、実に全体の約1/3の試合がほぼ50%の勝率で計上されているということになります。
より平たく言えば、アマテルやフィーロ同士が互いに潰しあっていたため、他のデッキに対し概ね全方位に有利だったにもかかわらず、平均勝率としてはそこまで目立つ数字になっていない、という言い方ができるのではと思います。
つまり、平均勝率だけで評価してしまうと、神10デッキの実力は過小評価されている可能性がある、ということも言えそうです。
となると今回の調整、結果として神10強化してない?
勝率の面でも使用率の面でも、マキュリス単体、さらに言うとマキュリス✕テルミオスの組み合わせが大きな影響を及ぼしていたことがデータから見えてくると、最初は「なるほどな」と思った今回の同デッキ使用制限措置も、「いやいや、やっぱりちょっと待てよ」となってきます。
というのも、神10デッキにはヴァイセ、エンデガ、アラジンを封じられても、ハロウィン・メーティスという代替フィニッシャーの選択肢が残されているからです。さらに言えば、ハロメ+スゥでなおフィニッシュ力が足りないと感じた場合、ハロウィン・サシャーラや冒険・ネクベトなどをさらに追加することもできるのです。

つまり、他の多くのデッキが軒並み「マキュリスを編成するとヴァイセやデガ・アラを失う」という二択を迫られる中、神10デッキは「テルミオスとマキュリスを同事編成しつつ、代替のハロウィン・メーティスを選べる」という立場が確保されるわけです。
言い換えると、マキュリスを使える多くのデッキの競争力を幅広く落としたことで、逆にマキュリス✕テルミオスができる神10デッキの地位を相対的に高めたという見方もできると考えます。

ハロメを持つ神デッキと同様に、ヴァイセ、デガ・アラ以外のフィニッシャーを持つデッキは今回の措置で同じく地位を上げたと言えます。例えばメルチェーデを使える魔竜デッキ、エステルを持つマナデッキ、そしてウィルダインのいるスティグマデッキなどは、これまでとほぼ同じ運用でマキュリスを使用することができます。
試しに、今回の闘化マキュリスに関する同デッキ使用制限措置に関して、勝者と敗者に無理やり分類してみると、以下のような感じになります。
勝者
- 闘化マキュリスが入らない全てのデッキ(神殴り、各属性単デッキ、竜神等)
- 魔竜
- マナ
- スティグマなど
微勝者
- アマテル
- フィーロ
- 神シアン
- ヒュプノスなど
敗者
- ヴィンス混合
- テレーゼ混合
- 混合殴りデッキ
- 魔10シアンなど
今後の展開は?(予想)
このまましばらく大きな環境変化がない場合、アマテルとフィーロはこれまでとあまり変わらない競争力を維持すると思われるので、これら神10デッキとその他のデッキとの格差が広がることになるのではと思います。
多くのデッキにおいてマキュリスを使うハードルが上がった中、アマテルやフィーロなどはマキュリスとテルミオスというディメンションスキル2枚使いができるとなれば、これまで以上にテルミオスにもフォーカスが当たることになってヘイトが集まりやすくなる可能性があります。
そうして、結局のところゆくゆくマキュリス✕テルミオスの同デッキ使用制限が適用されることになる、というシナリオを予想してみたいと思います。
2. 竜殴りデッキに関する同デッキ使用制限
事実関係
まずは速攻竜デッキ(竜殴りデッキ)の時系列について整理します。
長い間不遇な立場だった速攻竜デッキにおいて、進化ナルアダルアの登場(2024年1月)は一つの大きな契機となった出来事でした。進化ナルアダルアはデッキの課題だった耐久性を補い、速攻竜デッキを環境で渡り合えるラインに引っ張り上げました。
A駒捕食のヴェロニカ(2024年8月)も加えた速攻竜デッキは、進化ヴィンス、トリルビィ(2025年5月)によってより安定感を増し、2025年5月に使用率TOP10入りして55.55%の勝率を残しています。

その後、しばらく使用率TOP10から消えていた速攻竜デッキは、2026年1月の新春御三家・進化マシュカの実装により再び使用率TOP10圏内に顔を出すようになり、2月は使用率で全体4位(6.02%)、勝率も53.71%を記録しています。
所感・考察
引っかかるのはタイミングと説明
捕食によって耐久力を高めた速攻竜デッキは、もはや「速攻」という名が似合わないほど捕食で粘ることが可能となりました。今となっては竜殴りデッキと呼ぶほうが相応しくなってきていると思います。
対戦相手からしてみると、バフの乗った一撃を見舞われる前に押し切ってしまうのを狙いたい中で、ナルアダルアの捕食によって6,000ダメージ+6,000回復の12,000アドバンテージを稼がれるみたいなことが起きると、押し切りを狙って崩した姿勢からではどうやっても立て直しが効かない試合になってしまいます。かといってアンチヒールで捕食を牽制すると、こちらが立ち止まっている間に普通に殴られて大股でHPを削られるという、固定系デッキからしてみると究極の2択を迫られるという部分は正直ありました。
だから今回の進化ナルアダルアに対する規制は分かるのですが、個人的に引っかかるのはそのタイミングと説明の部分です。
まず、進化ヴィンス✕進化ナルアダルアの組み合わせに問題があるのであれば、ヴィンスの実装直後に使用率TOP10圏内で勝率が55.55%を記録した2025年5月以降ずっと放置されてきたこととの整合が取れません。
では、新春の進化マシュカの実装がトリガーになってその組み合わせの凶悪さがもっと表面化したのだ、とするならば、ヴィンス✕マシュカ、あるいはナルアダルア✕マシュカの方が制限されて然るべきでした。なぜならば、マシュカ実装前のヴィンス✕ナルアダルア同時編成は長い間、問題ないとされてきたのだから。

実際に、けいじぇい氏の説明は「神殴りデッキ(イシュタル-ミューズ)と同様に、捕食S駒の制限となります」となっていましたが、その説明に則るならば、ナルアダルア(捕食)-マシュカ(永続バフ)、もしくはヴィンス(捕食)-マシュカ(永続バフ)の調整でないと対応が取れないです。
竜殴りデッキの調整は難しいところ
ナルアダルアの大捕食と、マキュリスのロックでも飛び出してくるヴェロニカの捕食、マロニィの氷結、ヴィンスの緊急捕食という、相手をいなす・イモる手段をいくつも持つことで、従来の速攻竜デッキに比べて押し切ることが難しくなっており、元のデッキコンセプト(耐久が弱い一方、上振れた一撃は止められない、頓死か無双か)から外れてきているのは事実だと思います。
一方で、昔に比べて、他の固定系デッキがポン起きでいとも簡単に火力を出しやすくなっていて、コンボも軒並み強くなっており、さらにHPも上がっているという状況も考慮する必要があると思います。
竜殴りデッキ使いの人からすると「ナルアダルアの捕食がないと対等に戦っていうのは難しい」という意見があるのもおおいに理解できます。
「じゃあ、ナルアダルアが必要な人はティアマトでいいよね」と言うことは簡単ですが、それは「いよいよ本腰入れてヴィンスの2体目を取りに行くか!」と新春や周年ガチャで気合を入れてかけらを注ぎ込んだ新規ヴィンス竜ユーザに対する盛大な裏切りにもなると思っています。近ごろ強化が続く竜殴りデッキに進化マシュカが加わったことで、「そろそろ竜殴りデッキを始めてみるか」となったユーザは多いはず。
元から捕食もバフも手に入れつつあった竜殴りデッキに、オーバースペックなマシュカ ※1 を投入したのは運営の調整の甘さ、落ち度だと思うので、ヴィンス✕ナルアダルアの同デッキ使用制限という、理解はできるけど筋は通ってなさそうな調整には逃げないで欲しかったというのが正直な思いですね。
※1 進化マシュカ実装時の記事に「実質3オーラが可能で、直接殴ることもでき、コンボも強いという、これと言った明確な弱点が無い駒」と書いたように、明らかにパワーが強い駒であったのは誰の目にも明らか
進行上、角を取りやすい性質を利用して、最近は角バフも編成した構築も流行った中で、リーダー、闘化ランタイ、トリルビィのディザイア、ガルフ、マーレア…とバフはもう十分炊くことができるのだから、そこに加えて自分でも殴れる追加のバフをわざわざ投入して、ヴェロニカの捕食ですら致命傷になるようなバフ盛りを可能にする必要は無かったんじゃない?というのが、今回の竜殴りデッキの調整に感じた違和感でした。
全体を通じた感想・まとめ
10周年イヤーの新春御三家だったからこそ、気合が入りすぎて性能設計が過剰になった部分もあったと思いますし、素直に「闘化マキュリス✕闘化テルミオスの制限」や「進化マシュカに関する制限」とならなかったのはセールス面を気にしての側面も正直あったのだと想像します。
特に闘化マキュリスや闘化テルミオスは単体で稼ぐアドバンテージが尋常ではないので、本来であれば駒ナーフが適当とすら思える性能なのですが、あのアルベルティーネがあれほど同デッキ使用制限を重ねても一向に勝率が6割から落ちてこないほど強かったのに、駒自体の性能ナーフ+詫び石の補填は行われず、スキルバッジ適用すらも行われていないことに照らせば、このまま同デッキ使用制限だけで乗り切るつもりであろうことは容易に想像できます。
とはいえ、「明らかに強い駒を実装して集金する」→「その後に同デッキ使用制限を課し、実装時にユーザが思い描いた使い方ができなくなる」の繰り返しは短期的なセールスには繋がるものの、中長期的にはユーザの信頼を損ねてそれがセールスに跳ね返ってくるということも想定できるので、10周年もリアイベも大事ですがやはり基本となる価値の源泉は対戦のユーザ体験であり対戦環境である、ということをもう少し大切にしてもらいたいなと思いますね。最近のグローリー環境に対する調整を見ても、ちょっと運営が対戦環境を十分正確に捉えられていない感を感じています。
個人的な感想で言えば、進化スゥの実装あたりから強くなった気がする神デッキのパワーの頭一つ抜けてる感と、その後に繋がるアルベルティーネの設計ミスについて、同デッキ使用制限の駆使と他デッキの駒性能インフレで乗り切ろうとしている雰囲気を感じるのは、ちょっと心配だなと感じる部分ではありますね。
今日はここまで。