オセロニア「論」

思考や情報の整理のために書いていきます。

ツクヨミ-フェイルノート環境の成立と今後の展望について ~①ツクヨミ環境の成立~

この記事を書いているのは2024年の3月。

今、最もヘイトを集めていると言っても過言ではないのは、言わずもがなツクヨミデッキです。

このデッキの強さを1文で表すのは難しいですが、それでも無理やり表すと「高HPで高耐久かつ高火力、S5構成でもデメリットが目立ちにくく、フェイルノート筆頭にS駒がだいぶやってるデッキ」です。なんのことか意味不明ですよね。

さて、そんなツクヨミデッキ。このデッキの強さを形作る要素を紐解いていくと、なかなか単純ではない問題の本質が見えてきます。

※ 本記事の執筆中に、運営よりツクヨミ+フェイルノートの同デッキ制限(4月1日~)とS駒4枚制限(ひとまず期間限定)の方針が提示されました。後編では、この制限がどう影響するかも考察します。

ツクヨミデッキの強さを形作る主な要素

・6800アド取れるリーダー

・フェイルノー

・その他の汎用高火力神S駒

・充実した神単A駒

・周年エアレー()

 

では、順を追って見ていきます。

 

・6800アド取れるリーダー

2023 3rd SEASONの開幕を告げる9月の超駒パレードで、オーダーという新スキルを持った3体の新超駒が追加されました。

オーダーとは、AからDに書かれた条件を達成することで火力や回復を得ていくスキルです。

そのうちの神S駒「ツクヨミ」は、以下のような性能を持つリーダー駒です。

闘化ツクヨミ

ツクヨミのオーダーA、Bは普通の展開なら序盤に自動的に達成されるものなので、瞬速でまず3200アドを取ることができます。オーダーDもHP条件で自動的に発動するので、5200アドは何の苦労もなく(回復耐久やアンチヒールと対面しない限り)獲得できます。

オーダーC達成にはやや道のりが必要ですが、召喚をうまく活用することで自然に達成できます。

こうして得られる6800ものアドバンテージは、さすがに7800アドの闘化アナンには叶いませんが、例えばぬらりや納涼メフィストのようなオーラ毒では9ターン掛かっても達成できない大きさのアド*1です。

この量のアドバンテージが、HP2800を超えるステータスの駒から、手札に抱えたままで(場に出すことなく)もたらされるのです。しかも、召喚の噛み合いが良い場合になると5~6ターンという短期に前倒しされて全オーダーが達成されることもあるので、弱いわけがありません。

・フェイルノー

ツクヨミは、神のぶっ壊れS駒の中でも最強クラス、フェイルノートとの相乗効果が非常に高いです。

進化フェイルノートの本体

召喚される神木の矢筒

はい、強いですね。

場に出すだけで、召喚される矢筒の雷撃スキルとコンボのボルトヒールでぐいぐいとHP差を拡げながら、周年ヴァイセなどの自駒参照スキルの火力を押し上げるなど、ただでさえ相当に強いこの駒ですが、ツクヨミデッキではオーダーC達成を強力に後押しする潤滑油にもなるという凶悪さ。もはやバグです。

一時代を謳歌したヒュプノスが、フェイルとの同デッキ制限後に火力不足に陥って急減したことを見ても、「強すぎる神デッキ」の本体は大抵フェイルだったりします。

ツクヨミデッキに批判的な文脈では、多くの場面で「ツクヨミ+フェイル」と共犯者(?)のような扱いを受けているのも、ある意味納得の壊れ駒ですよね。

・その他の汎用高火力神S駒

ツクヨミの実装当初、他のS駒の枠としてはフェイルノート、ウィブサニア、ペトラ、キンマモン、ヴィーナスあたりが中心に、個人の好みで使われたような印象があります。どれも汎用性に優れる「とりあえず入れとけ」系ですよね。

加えて、オーダーDの2000回復でベースの耐久力が高いことから、ペトラ・マカミを入れた代償S駒2積みの高火力速攻構成なんかもありました。

とはいえ、まだこの段階ではウィブで火力を通すのに3ターン掛かったり、手痛い代償を多めに支払ったりと、いわゆる駒投げと言われるムーブをする環境は完全には揃っていませんでした。トールもスキルバッジ付きでしたしね(2024年1月にバッジ解除)。

ところが、2024年正月登場の御三家によって状況は変わります。

そう、スゥです。

強かったツクヨミをさらに強くしたスゥ

相手駒がある程度揃った中盤に出すだけで最大4500の壊れ火力、しかもその火力の半分以上を特殊罠やシールドの妨害を受けづらい雷撃(※ 今は対策が増えました)で出していく、HPが2900に迫ろうかという進化スゥ。

この駒の登場により、スピードと立ち回りやすさにより磨きのかかった(≒駒投げと言われる要因)デッキへと昇華されることになったのです。

ツクヨミ、フェイルノート、ペトラ、スゥという火力特化の構成でも、その卓越した速度で安定して押し切ることが可能になり、さらに、後述するS5採用の構成が一般的となる基盤を作ったという出来事だったのでした。

・充実した神単A駒

そして、ツクヨミデッキが登場からスムーズに環境入りを果たしていく快挙(?)の一端を担ったのが、ツクヨミの登場前から着々と進行していた神(単)A駒の強化でした。

メリッサ (2023年6月強駒パレード)

ライラ (2023年8月強駒パレード)

 

ユウキ (2023年10月強駒パレード)

探求ヌアザ (2023年11月探求コレクション)

イオフィエル (2023年12月クリスマスフェスタ)

このように、ほぼ毎月のペースで優秀なA駒の追加が行われたことが分かります。

特殊に比べて干渉を受けにくい雷撃中心に2000を超えるダメージを叩き出す駒達と、優秀なサブオーラにより、それまでの神A駒のスタンダードが1段階引き上げられたというのは誰の目にも明らかでした。

・周年エアレー()

そして、ツクヨミの大暴れ環境の仕上げとなったのは、2月に行われた周年イベントで再登場となったB駒の周年エアレーによる、S5ツクヨミの流行です。

周年エアレー。この駒も登場時から壊れていた

この駒の登場自体は1年前の7周年イベントであり、私も復帰した直後の周年ガチャで入手したので印象に残っていますが、初手に出せればA駒イオフィエルの株を奪うぐらいの火力が出ます。

2024年3月現在、このB駒である周年エアレーを加えたS5-B2構成のツクヨミがコスト200環境の天下に君臨しています。

S5ツクヨミが選択される理由は、主に以下のようなものだと考えられます。

・初動で引ければB駒でA駒以上の火力を出しつつS5の上振れを享受できる
・いつ打っても優秀なA駒が増えたので、エアレーを中盤以降に引いて抱えることになっても手駒が事故りにくい
・無補正では特にルキア等の下ロック採用が減っている
・S5-B2構成にしてもHPが31000を超えるぐらいデッキ体力が高い

S5構成にしてもHPがほぼ変わらず、依然として31000以上ある

実は周年イベントの前、スゥが登場したあたりから既にS5ツクヨミは目立ち始めていました。

そこに「待ってました」と言わんばかりのタイミングで訪れた周年イベントにより、このエアレー(と周年メーティス)がより多くの人に行き渡り、いよいよ来る日も来る日もEveryday S5ツクヨミ環境の到来と相成ったわけです。

ちなみに私はツクヨミのS5構成はあまり得意ではありません。序盤や1枚返しでしか仕事ができないエアレーによって手駒廻りが滞って負けるというのがとても嫌だからというのと、S5はあまりに駒パワーに頼り過ぎでは?感があって、爆発力は減ったとしても安定するS4構成の方が好みです。

ツクヨミについて思うこと

私自身、このツクヨミについてどう思っているかというと、ポジティブでもネガティブでもどちらでもありません。

実際、2月のシーズンマッチは上手くない私でも、神デッキ(S4ツクヨミと神殴り)で72%という、いつもよりも高い勝率を残すことができ、ポイントを積むのにだいぶ貢献してくれたという思いがあります。

ペトラやスゥをコンボに繋いで、オーダーCと合わせて11000のダメージで吹き飛ばす、みたいなのは爽快の一言です。やられた方はたまらないですが。

一方で、盤面ガン無視でコンボを繋ぐことに全集中してくる人に遭遇する機会が増えており、それでゴリ押されると理不尽さを感じることもあります。

ただやはり全方位的に強すぎるデッキというのは環境として健全ではないと思うので、何かしらの対策が打たれるべきだと考えてはいます。

1月の勝率表。神殴りに微不利以外は全て勝ち越しているという圧倒的な強さ

 

さて、冒頭にも記した通り、本記事の執筆中に運営から「ツクヨミ+フェイルノート構成」「S5編成環境」に手をいれる方針のアナウンスがなされました。

現時点では暫定的な対策のようですが、いずれにしても今後、環境に大きな変化があることは間違いなさそうかなと思います。

このことも踏まえて、後編ではもう少し掘り下げた考察を加えていきたいと思います。

*1:純ダメージとダメージ+回復の違いはあります。